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スリー・テーブルスの集会場

2007年05月07日

ハワイ語を習うのだったら、ハワイでもテレビが一番てっとり早い。
あのカメハメハ校(注4)のハワイ語の先生が教えてくれる、由緒正しい番組もある。が、授業は、生徒の事情などお構いなしにどんどん進んでゆく。インターラクティブでないところが欠点だ。テレビ画面ではなく、生身の先生が教えてくれるハワイ語会話講座は、ハワイ大学や公立の中学校や高校の教室を使って夜間行われるアダルト・スクールがある。アダルト・スクールは、ハワイ州の生涯学習プログラムの一環で行われている市民講座だ。誰でも受講することができ、授業料も安い。さっそく募集案内を入手して調べてみると、簿記やコンピュータといった実戦向きのクラスがあれば、手芸、盆栽など生涯学習向きのクラスもある。また、アメリカ市民権獲得クラスなどもあり、まさに人類・文化の交差点ハワイに相応しく多民族国家を象徴するカリキュラム構成になっている。ノースショアでも、大極拳(タイチー)、柔道、エアロビクス、ヨガといったフィットネス系のクラスに交じってハワイ語会話のクラスがあることが分かり、わたしは喜び勇んで申し込みに向かった。


通常、アダルト・スクールの受講申し込みは、郵送するか近くにあるシテイ&カウンティのサテライト(役所の出張所みたいなところ)まで出向いて手続きをおこなう。しかし、ノースショアにはサテライトがないから、シテイ&カウンティの現地職員に直接申し込むことができる。問い合わせると、40歳代のビルという男の人がノースショア地区の担当だという。エフカイ・ビーチ・パークの道路を挟んで山側には、広さ3エーカー(4,000坪弱)ほどの公園と、その奥にサンセット・ビーチ小学校の校舎がある。公園の入り口の駐車場の脇には男女トイレが設置された小さな建物がある。ビルは、普段このトイレ兼倉庫の建物にいる。観音開きの倉庫のドアの脇には、彼専用の小さな木の机が置いてあった。


ビルの仕事は、公園やテニス・コート、キャンプ場などシテイ&カウンティが所有しているさまざまな施設の管理や成人学級の申込みの受付など多岐にわたる。たとえば、サンセット・ビーチ小学校の校舎に挟まれた一画にネイバーフッド・パーク、日本語に訳すと隣人公園がある。ここには、テニス・コート2面、バレーとバスケット兼用コート2面、サッカーと野球兼用グラウンドがあり、これらの施設は、サンセット・ビーチ小学校の授業で生徒が使用していないかぎり、一般に貸し出される。借りたい人は、日時を指定してビルに申し込むことができる。


また、隔週の土曜日には早朝からお昼ごろまでこの公園の脇に朝市が立つ。わたしの友人の一人は、自分の畑で栽培したレタスやトマト、ネギ、バナナ、ときにはライチーの実など、季節にあわせて野菜や果物をこの朝市で売っている。もう一人のベジタリアンの友人は、手作りのマンゴーやパパイヤのドライ・フルーツ、クッキーなどを袋づめにした自然食品を売っている。他にも、盆栽やハイビスカスの若木、ハンド・メイドの陶器や、コアなどのハワイの木を使った木工品などが売られており、この朝市で何か物を売りたい人もまたビルに申し込むのである。


サンセット・ビーチ隣人公園の倉庫で多忙なビルを捕まえたわたしは、ハワイ語の受講申込書を手渡した。が、彼がいうには、ハワイ語会話クラスは今晩6時半から最初の授業がはじまるので、申込書は、クラスとなっているスリー・テーブルスの集会場で直接先生に渡してくれという。その晩、さっそくわたしはハワイ語日本語辞典と3穴バインダー式のノートを持って、スリー・テーブルスにある集会場に向かった。


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スリー・テーブルスは、フード・ランド・スーパー・マーケットや消防署がある一角の海側にある。集会場は、20台ほどが入る駐車場の奥の海ぎわの岩場に建てられていた。1974年には、大波で建物が流失し、新たに再建されていたのだが、冬のビッグ・ウエーブの季節をむかえると、打ち寄せる波の音で先生の声はかき消され、授業が中断されるといったことがたびたびある。集会場のその先(ワイメア湾寄り)は、道路から隠れた弓字型のちょっとしたビーチになっている。西の端にある岩場は、子どもたちの絶好の遊び場になっていて、週末にはビーチ・バーベキューを楽しむ家族連れなど、地元の人たちで賑わう。


このビーチの正面50メートル沖には、スリー・テーブルスというサーフ・ポイントがある。地元の子どもたちは、ここの波に乗ってサーフィンをスタートさせるという、ノースショアにある数少ない初心者ポイントの一つだ。集会場のなかから海を眺めると、窓につけられた木製の日除け板の透き間から、斜め正面に白く割けたスリー・テーブルスの波頭が見えた。




注4:カメハメハ校は、ハワイアンの子弟の教育の充実を計るために、バーニス・パウアヒによって設立され、現在はビショップ財団が経営している。このカメハメハ校に入学できるのはハワイアンの血筋を引く子弟のみ。1954年には41人の純血ハワイアンの生徒がいたが、1970年にはわずか4人になっている。また、カメハメハ校の生徒の平均混血率は1954年には50%だったが、1970年には36%となっている。ハワイアンの血筋を持つ割合が年々減少し、カメハメハ校の存在理由もそれにつれてなくなっていくことに違いない。

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コメント

投稿者 サーフサイズドットコム : 2007年05月10日 08:46
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