もし、ジョージのかみさんが、家に同じようなパドルボードが2本もあることを知ったら大騒動になるだろう。ジョージとしては、夫婦げんかになるような元凶はさっさと片づけたい。そんなわけで、わたしは、ジョージが今まで使っていたお下がりのパドルボードを格安で買うことになった。

わたしがゲットしたパドルボードは、同じくデニス・パングがシェープしたもので、色はベーシックな白、長さは12フィート、幅48センチ、重さが約4.5キロと、中級者タイプのパドルボードだ。サーフボードに比べて長さは倍近くあるが、幅は狭く、そしてなによりも軽い。ボトムは上級者用になるほどドームが深くなり、スピード性能は増すが、その分安定性が悪く、パドリングをつづけるのが難しい。
最も古いパドルボード・レースは、サンセット・ビーチとワイメア・ベイ間の3.5マイルを競う「サンセットーワイメア・パドルボード・レース」だ。毎年アメリカの独立記念日、7月4日に行われるこのレースにはノースショアばかりではなくオアフ島じゅうから300~400名ほどの参加者があり、スタート地点となる広いサンセットの海は、沖までパドルボードで埋まるほどだ。その人気の秘密は、サンセットーワイメア間は、冬であればノースショアで最もハードなサーフ・ポイントが並ぶサーフィンのメッカちゅうのメッカである。有名なサーフ・ポイントだけでも挙げてみると、サンセット、ロッキーのレフト&ライト、パイプライン&バックドア、オフ・ザ・ウォール、そしてワイメアと続き、その美しい海岸線に沿ってパドルするだいご味は、サーファーにとって最高の楽しみであり、幸せでもある。

わたしも初参加すべく、朝10時にサンセット・ビーチにある大会本部のテントに向かった。エントリー・フィーは20ドル、完走すれば大会Tシャツがもらえる。サンセット・ビーチ前にあるテントはエントリーを申し込む人で混雑していた。そのなかに何人か知った顔があった。そのうちの一人、ギャレット・マクナマラが声をかけてきた。彼は毎日のようにわが家に来ては、へたくそな日本語でおしゃべりをしていくカリフォルニア生まれのサーファーだが、かいあって今ではノースショア一(いち)のジャパニーズ・スピーカーとなっている。
彼はワイメアのジャイアント・ウエーブを好むビッグ・ウエーバーであり、この「サンセットーワイメア・パドルボード・レース」の優勝候補の一人にあげられているほどの、パドルリングのスペシャリストだ。彼は、わたしがパドルボードをはじめると知って、喜んだ。彼いわく、このコースはカレントが複雑に入り組んでいるから、なるべくビーチに近いコースを取ったほうがいいと、サゼスチョンしてくれる。しかしビーチに近い分、ウネリはきつくなりパドリングが難しくなるし、海岸線に沿ってパドルするので距離も長くなる。とにかく、「オレについてこい」と、ギャレットはいう。
つづく・・・
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